「全国人間科学系部局連携ネットワーク」について
全国人間科学系部局連携ネットワークは、人間科学の研究・教育・実践を担う全国の大学部局が連携し活動していく場です。1972年に大阪大学にて、全国で初めて人間科学の名を冠した「人間科学部」が設立され、この50年の間に、全国に40以上の人間科学を名称に含む部局ができました。そこで、大阪大学人間科学部・人間科学研究科の創立50周年を機に、研究はもちろん、教育や社会連携の面でも人間科学らしい実践をさらに進めようという目的で、大阪大学、文教大学、早稲田大学、島根大学、4つの大学が中心になって全国の大学の人間科学系の部局に呼びかけ、全国16大学の部局長に参集いただきました。
2022年12月、「人間科学サミット in OSAKA」にて「人間科学宣言」を採択し、連携ネットワーク設立の運びとなりました。
全国人間科学系部局連携ネットワークは、「人間科学宣言」の精神にのっとり、人間科学の発展を目指して様々な研究・教育・実践活動を展開していきます。
今後期待されること
日本における人間科学の黎明期から現在に視点をもどせば、科学技術、産業構造、社会、生活様式、情報伝達の速度、自然環境、個人の意識の変化は更に著しく、またそれぞれ極度に細分化され、「人間の人間らしい部分」がますます縮小しているように感じられます。今一度私たち人間が、生物、社会、文化、心理、身体、物質、経済、歴史、表象、知識、言語、情報等からなる多次元的な側面を持ちつつもそれらが統合された全一体であることを確認し、それを体系的・総合的に扱うことができる人間科学を、ますます発展させる必要がある時代に直面しています。
個人の力は限られており、また一つの組織の力にも限界があります。しかしながら、今回、全国の人間科学系部局のネットワークが設立されるにあたって行われたアンケート調査では、全国の人間科学系部局の総定員数はおよそ1 万人弱、今日の大学進学者のおよそ1.7% となっており、これらが結集すれば大きな力となるはずです。たとえば、ある学部では用意されていない専門領域が他の学部には存在し、またそれぞれの学部にはそれぞれの独自の研究フィールドがあり、これらが相互に連携できれば学術的な多様性とその深化はさらに拡大すると考えられます。
多元性が全一的に個として内包されている存在である人間を探究するためには、多角的な視点が不可欠です。その多角的な視点をさらに豊富化する可能性が人間科学のネットワークには存在すると考えられ、このたび設立されたネットワークが、人間と、人間以外のすべての存在の調和と均衡、そして幸福と持続的な発展を推進する力となることを強く期待します。
早稲田大学人間科学学術院 三嶋 博之. 会報「人間科学」 第1 巻 2023 年11 月20 日発行
ロゴについて
人間科学の「2つの知」から成る新社会というテーマから着想し、「人」の字をモチーフとしたロゴです。
また下側左右の突起は、それぞれ「学問知」と「社会に偏在する知」を表しています。
その二つが交わり生まれた上部の突起は人の頭のようにも見え、新しい社会を担う次世代の学生等を表現しています。